資本主義に希望はある の感想

近代マーケティングの父とも言われるフィリップ・コトラーの
資本主義に希望はあるを読み終えました。

概要

第1章 貧困問題は未解決である
第2章 拡大する所得格差
第3章 搾取される労働者
第4章 機械が人間の仕事を奪っていく
第5章 誰が社会的費用を払うのか
第6章 環境破壊を防げるのか
第7章 乱高下する市場
第8章 利己心の是非
第9章 借金で豊かになれるのか
第10章 政治に歪められる経済
第11章 短期的利益を重視する弊害
第12章 マーケティングの功と罪
第13章 さらなる経済成長は必要なのか
第14章 モノだけでなく幸福も生み出そう

おもしろい?おもしろくない?

解決されない貧困問題や、マネーゲームとも思える株式市場、そういった現代の経済はどうなってんの!と思っている僕が読んだところ面白かったです。

コトラー先生も思うところがあるようで、
「資本主義の十四の欠点」を挙げています。

1.資本主義は、根強く残る貧困の解決策をまったく、またはほとんど示せない。
2.資本主義は、所得と資産の不平等を拡大させる。
3.資本主義は、何十億人もの労働者に生活賃金を支払うことができない。
4.資本主義は、自動化の進展に直面し、人間の仕事を十分に確保できなさそうである。
5.資本主義は、企業活動による社会的費用の一部しか彼らに負担させない。
6.資本主義は、規制がなければ環境および天然資源を搾取する。
7.資本主義は、景気循環を生み出し、経済を不安定にする。
8.資本主義は、個人主義と利己主義を重視するため、共同体と共有資源を犠牲にする。
9.資本主義は、消費者に多額の借金を促し、結果的に製造業主導型経済から金融主導型経済へとシフトさせる。
10.資本主義は、政治家と企業を一致団結させ、彼らの利益のために大多数の市民の経済的利益を犠牲にする。
11.資本主義は、長期的な投資計画よりも短期的な利益計画にくみする。
12.資本主義は、製品の品質や安全性、広告の真実性、反競争的な行為に対する規制を必要とする。
13.資本主義は、GDPの成長だけを重視しがちになる。
14.資本主義は、市場の方程式に社会的価値と幸福を持ち込む必要性がある。

まさにこれです。

資本主義の壮大な理念は、資本を持つものが、それを元により多くの富を生み出し、その富が結果的にすべての人により多くの仕事と収入をもたらす、というものだ。富裕層だけが、恩恵を受けるのではなく、彼らの富は「したたり落ちる(トリクルダウン)」はずである。すべての船が上げ潮に乗るのである。

世の中を見ると、資本主義のよくない部分ばかり見えるのですが、理念は良いですね。

ところが昨今の様子を見ていると、富はどうやら「したたり上がる」ようだ。

しかし、これが現実と。

お金持ちを擁護する人々は、これ以上課税されないために様々な根拠主張するとして、
その一つしてパレート最適状態について書いています。

ヴィルフレド・パレートは、次のように主張した。大金持ちから1ドルを取り上げ、それを食べ物代として餓死しそうな人に渡したとしても、それは社会経済システム全体の満足の総和を増やしたことにはならない。なぜなら満足とは主観的な状態であり、餓死しそうな人が1ドル分の食べ物から得るのと同じかそれ以上の満足を、その大金持ちが1ドルから得られるかもしれないからだ。

これは少し頭にきました。
いくらなんでも強欲すぎませんか・・・
こんなのばっかり見てるとアンチ資本家になっちゃうよ。

ギビング・プレッジの紹介もありました。

これは、人々の暮らしを向上させるため、自分の財産の半分以上を慈善活動に寄付するという誓約である。

The Giving Pledge :: Pledger Profiles
ウォーレン・バフェット、ビル・ゲイツ等の著名人が参加しています。

このような現状への問題がツラツラと書かれています。

感想

本で書かれている問題が、本を読んでも解決するわけでもないし、どんな資本家でもいきなり問題を解決するのは不可能でしょう。
ですが、コトラー先生のような方が疑問に思っていて、それを本にして発信してくださっていることがうれしく思います。
著名な方の発言は影響力が大きいですからね。

この本の内容については、どこかで見たなという内容もあり、全てが新しいというわけではありません。

だから本がつまらないとかではなく、やるべきことはすでに世の中に発信されているのに、それらが解決されないことが問題だと改めて認識させてくれます。
タイトルで「資本主義に希望はある」と言い切っているのも、「ちゃんと問題に対応したら」という条件付きでしょう。

コトラー先生といえば、マーケティングであり、マーケティングといえば、いかにして商品を売るかを考えるものです。
そんな先生が本の中で、「物質主義ではない幸福を」として物質主義的な生き方でなくとも、充足感を与える生き方はあると書いています。

1.芸術や文化、または宗教と深く関わる
2.他人を助け、世界を改善する
3.より簡素に生きる

こちらも目新しいものではありません。
ですが、マーケティングの先生が書いているというのも面白さを増している要素かもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。